題名 :『五人の賞金稼ぎ』 

登録日時 :03/01/13 18:18

1969年 東映 監督:工藤栄一 カラー 97分

69年ともなれば、東映時代劇の黄金期はとうに去り、この映画なんかほんと、 やぶれかぶれというか、捨て身で作っている感じ。もうなりふりかまわず、 西部劇、「赤ひげ」、「十三人の刺客」などいろいろパクっているわりには、 肝心の賞金首がいなかったり、政治批判があったりして、わけわからん。




舞台は、黒羽の榎村。領主の大関佐渡守(小池朝雄)の年貢・税金の取立てが あまりにひどいので、百姓達が腹を立てて砦を作り篭ってしまった。名主の太 左衛門(嵐寛寿郎)は、村人の一人(天津敏)を幕府への直訴状を持たせて送り出したが、幕府が手を打ってくれるまで、 砦をどうやって守ろうか、 と悩む。参謀役の浪人、別所(徳大寺伸)に相談すると、別所はかつて戦った 男、錣(しころ)市兵衛の名を挙げる。

市兵衛(若山富三郎)は江戸の小石川で貧しい者達の医者をやっていたが、村 から来た若者、新八(石山律)の要請を引き受けることにした。若山富三郎は 髪型がオールバックで口ひげを生やしていて、とても変。四人の仲間を連れて 村に向かう。五人の賞金稼ぎのメンツは以下の通り。

錣市兵衛(若山富三郎) 医者。西洋の科学技術に明るい。
陽炎(真山知子) 伊賀の女忍者。お約束のミニスカート。
望月弥太郎(大木実) 浪人。居合い術の達人。
鬼塚隼人(北村英三) 猟師?。手裏剣の達人。
青砥九内(潮健児) 浪人。淋病の達人。排尿の都度、激痛に苦しむ。

村では、領主の家老、芝池主水(中谷一郎)と名主の最後の交渉が決裂してい た。主水は命令に従わない名主に怒り、馬の鞭で馬上から名主を打つ。中谷一 郎って勇気あるなあ。なんとあのアラカン様を馬のケツを叩く鞭で打つのであ る。私なぞ、アラカン様のご尊顔を見るだけで、手を合わせて拝みたくな る、というのに。

そのとき市兵衛達が村にやってきた。市兵衛は別所に砦の中を案内してもら う。村人達は極貧にあえぎ、狂った女が赤子の死体を抱いて大声で笑っていた。この 狂女を演じているのは、春川ますみなのだが、ちょっと目には全然わからな い。顔が細い。 名主の娘みゆきは土田早苗で、うーん、昔からフケ顔なの ね。小娘然とした台詞とギャップありすぎ。

領主の部隊が攻めてきたが、市兵衛は秘密兵器の連弾銃(手回し式)を掃射し て100人ぐらいを皆殺しにして、撃退する。これは見ていて、かなりズルい気 がする。あの武器をなんとかしなくては勝てん、と家老はラッパ者を呼び出して、連弾 銃を盗んで来い、と命令する。このラッパ衆、リーダーは伊吹吾郎で刀傷で潰 れた片目が無用の介そのまんま。二人のサブリーダーは、福本清三と宍戸大全 だった。わ、若い!

市兵衛は夜中にやもめ女に夜這いをかけられてあせったが、浪人傭兵の一部が 寝返って市兵衛を殺しに来て女を誤殺した。市兵衛と浪人達が戦っている隙 に、ラッパ者達が連弾銃を奪い取って逃げていく。
伊賀者くのいちの陽炎が後を追い、浪人達を倒した市兵衛も後を追って、連弾 銃を奪還した。右腕をぶった斬られた伊吹吾郎は自ら首を切って死んだ。片腕 で自分の首を切るってけっこう難しいので、立ち木で刀を固定して、首を押し 付ける、といった細かい描写から、工藤監督の演出トーンが滲み出す。

翌日、家老は縛り上げた男を馬に乗せて砦のそばに連れてくる。訴状を持って 村を出た治三郎だった。直訴は幕府に届かなかったのだ。投降するように説得しろと促された治三郎は、無念だが まだあきらめるな、と砦の百姓達に訴えかけ、斬り殺される。後ろ手に縛られ たまま馬から転げ落ちる天津敏。ありゃあ受身がとれないから大変だわ。

もう一度直訴の使いを出そうということになり、名主が自らその役を引き受け た。敵の目を引き付けるためのおとり役を買って出たのは、当初はこの仕事に 反対していた居合い名人の弥太郎だった。弥太郎は最新式の銃を持って敵の前に飛び出し、追っ手を引き付ける。しかし 弾が尽き、刀に持ち替えたところで敵の鉄砲に倒れ、無残に殺された。しかも、やがて名主の死体が砦に届いた。またも直訴は失敗したのだ。

一縷の望みも絶たれ肩を落とす村人達を、市兵衛は励まし、新八とみゆきの祝 言をあげようと提案する。婚礼の席で市兵衛が剣舞を踊っていると、ズドーン と地響き。領主側も秘密兵器の大砲を持ち出して攻めて来たのだ。その破壊力はすさまじ く、次々と建物が破壊され、村人達が死んでいく。
市兵衛は連弾銃を撃ちまくって、こんどは200人ぐらい大量殺戮したが、連弾 銃が熱を持って使えなくなってしまった。久内に小便をかけろ、と命じたが淋 病病みなので、あまり出ない。

已む無く市兵衛は武器を刀に持ち替え、70人ぐらいを斬り殺し、家老も斬り 殺し、領主の前に立った。領主の反応は、『十三人の刺客』と全く同じ、「下郎、下がれ!」を繰り返す もの。市兵衛は一撃でしとめる。

こうして一件は終わったが、村人は大勢死んでしまった。祝言をあげたばかり の二人も抱き合うように死んでいた。もらった金を死者達の葬式代として返 し、むなしく市兵衛一行は村を去る。(完)




どこが「賞金稼ぎ」やねん!『七人の侍』のパクリやないか!というのが最初 に思うことで、西部警察まがいの銃撃戦が主体でチャンバラと調和していない のも、不満だなあ。
でも、コミカル演技ありトンボありの若山は大活躍で、工藤監督風のハードボ イルドなエグイ映像も印象的だし、真山知子の脱ぎはないけどコスプレくのい ちとか、下品な下ネタギャグとか、いろいろみどころはある。突っ込み所だっ て突っ込みの楽しさがあるわけだから、見る人の気持ちに余裕があれば、かな り楽しめる映画なのではないか?

少なくともヌルくてイライラするような映画よりは、こういうメチャクチャで もハジけた映画のほうが、精神衛生にはよいと思う。
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