題名 :『子連れ狼 地獄へ行くぞ!大五郎』

登録日時 :02/12/09 02:13


1974年 製作:勝プロ 配給:東宝 監督:黒田義之 脚本:中村努 原作:小池一雄 ・小島剛夕 カラー 84分

そんなにそこに行きたいなら行けば〜?と思ったりする。いや、いちいちタイトルで宣言しなくたって、すでに十分行ってんでしょう?冥府魔道に。
このシリーズ、私はあまり買わない。チャンバラの伝統のクビキを破るのはおおいに結構だが、メチャクチャさと面白さは別物。その辺に勘違いがいつも感じられるが、今回はダメ脚本家の小池一雄(一夫)がオリていて、それなりの出来にはなった。



拝一刀(若山富三郎)親子を未だに討ち損ねている柳生烈堂(大木実)は、将軍直々に叱咤され、このままでは表討ち(表立って一刀を指名手配)するぞ、そうなったら「公儀刺客人(そんなのあったの?)」の面目は丸つぶれだぞ、と脅迫され、切り札の娘、香織(瞳順子)を刺客に差し向ける。秘術のお手玉剣法を武器に一刀を襲った香織は、一刀に返り討ち。大五郎(富川昌宏)を肩車して頭上を護った一刀を香織は「卑怯」と罵るが、「我等父子、冥府魔道を行く者」とワケワカラン理屈で、一刀は切り返す。

亡妻、薊の墓参りをした一刀が気配を感じて、乳母車に仕込んだ機関銃で土塀を掃射すると、いつものように壁の中に潜んでいた刺客たちが血に染まって絶命した。いつも思うんだが、彼らはいつから土塀に潜んでいたんだろう?一刀親子が来なかったらいつまで待ち続けるつもりだったんだろう?

こうして三人の息子と一人の娘を討たれ、烈堂は妾腹の息子、兵衛(木村功)を訪ねる。兵衛は烈堂に捨てられ、山にこもる妖術集団、土蜘蛛の頭領になっていた。兵衛は父を恨んでいて、烈堂の一刀暗殺指令は断るが、父の鼻を明かそうと独自に手配の三人衆、無常・無我・無門を一刀抹殺に差し向ける。三人衆は石橋蓮司、草野大吾、宮口二郎だった。

三人衆は土に潜りながら、一刀親子を尾行する。
大五郎におもちゃを与えた鳥追い女は、突然爆死した。飴を売った男はバラバラ死体となって、川を流れてくる。一刀親子を泊めた旅館では、主人・従業員とも全員、惨殺された。すべて三人衆の仕業である。自分らとかかわった人はみな殺されてしまう、という窮地に追い込まれた親子は、勝手に道端に干してある大根や地蔵の供え物の米を取って、飢えをしのいだ。それでもかなり疲弊した。

弱り果てた一刀を、ついに土蜘蛛本体が襲ってきた。奮戦するも深追いして一刀は落とし穴にはまってピンチになった。そこで一刀は「卑怯!武士にあるまじき行為!」などと兵衛を罵って、1対1の果し合いに持ち込む。本物の武士にコンプレックスを持つ、兵衛の弱いところを攻めたのである。一刀こそ卑怯なのだが、兵衛は受けて立った。一刀と兵衛の勝負は、互角だったが刀そのものの強さの違いで、一刀が兵衛に深手を負わせた。一刀は「なんとしても生き延びて成し遂げねばならぬことがある」と自分の卑怯を詫び、止めを刺さない。兵衛にも心残りなことがあったので、「縁があればまた逢おう」と二人は別れた。

瀕死の兵衛が向かったのは、実の妹、梓のところだった。おりしも入浴中だった梓を、兵衛は犯そうとする。インセストである。「我等の子に、烈堂を討たせて積年の恨みを晴らそう」と説得する兵衛の言葉を、梓も受け入れ、兄と身を重ねる。しかしそこに現れた烈堂が、二人を串刺しにして殺した。

頭領の仇、と一刀を追った土蜘蛛三人衆も、土に潜れない雪山に逃げ込まれ、寒さに凍えて返り討ちになった。三人ともマジメに熱演しているが、引いて見るととてもオバカであった。

雪の山越えをする一刀親子。乳母車はいつの間にか橇バージョンに変わっていた。そこに烈堂率いる、裏柳生の一団が襲ってくる。「全ての子供を失った自分に較べ、大五郎がいる一刀が恨めしや」、と烈堂は逆恨みするが、一刀は、「おお、もっと苦しめ」、と言い返して火に油。スキーを履いた裏柳生軍団対橇バージョンの子連れ狼の死闘が始まる。

これもいつも思うんだけどね、大勢が出てくる殺陣シーンでは、人数の帳尻は合わせてほしいのね。最初に裏柳生は何人いてそれが最後に何人になったのか?途中で「補充」しないでよ。なんか、後から後からボウフラのように湧いて出てきて、おんなじ人(スキーの上手な人は限られる)も何回も出てるみたいだし、雪上の殺陣という新鮮味がこれじゃあ、シラケることおびただしい。

結局、柳生烈堂は橇に乗って逃げていくのであった。運転手役の睦五郎がとても笑える。(完)



まあ、小池脚本みたいなヌルさ、ダルさはないんだけど、どこかでボタンを掛け違え、方向を誤ったまま突っ走るシリーズの最終作がこれ。普通に本格的な殺陣をやったら、若山富三郎なら結構いけたはずなのに、余計なアイデアが不発でトホホ。日本映画、特に時代劇映画はこうやってダメになったんです、というドキュメンタリーに見えなくもない。

最後ならやっぱり、烈堂・一刀の白刃取り合戦が見たかった。
ひょっとしてまだ続きを作るつもりでいたんだろうか?
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