題名 :「子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる」

登録日時 :00/04/02 20:37



「殺陣が素晴らしい」とかねてより聞いていた東宝の「子連れ狼」シリーズ。期待に胸はずませて見に行ったのですが、トホホでした。何でこんなに救いようがなく、退屈な映画になってしまったのでしょうか?なにしろ、重い。

まず脚本が悪い。原作者の小池一夫氏による脚本ですが、全然ストーリーが流れないんですよ。クライマックスに向かって盛り上げていくような、方向性がなくって、すぐに淀んでしまう。別に謎解きのカラクリもなく、ひとつひとつのエピソードがつながっていかない上に、致命的なのは一刀の「ライバル」が、一人もいないこと。原作者ゆえに特別な思い入れがあるのかもしれないけど、一刀が強すぎてピンチになるシーンが全く皆無では、この手の映画としては、まったく盛り上がりません。「あんなに強いんだったら、裏柳生などさっさとやっつけてしまえば、いいのに。」と思ってしまいました。

おまけに、一刀役の若山富三郎は全くのミスキャスト。太っている上に丸顔で、これで「狼」とは笑止千万。危険なケモノの匂いがないのです。押し出しがいい上に、ニコリともせずいつも真顔なので、やたらいばっているように見えてしまいました。その顔のまま女(真山知子)を抱くので、「こういうときぐらいイバルなよ。」と、思いました。

肝心の殺陣のシーンも、富三郎じゃ動きが重すぎる。あと繰り返すけど、相手が弱すぎ。圧倒的な勝利を収めるのですが、そこまで引っ張ったシナリオが意図不明。これだけ力の差があるなら、最初から皆殺しにしてしまえばいいじゃん。
見所が柳生烈堂役の伊藤雄之助の怪演のみ、というのがわびしい。これも、やたらジジむさい、面妖なしゃべり方で、私は正直うざったかった。

主人公を含めて、感情移入できる人物がひとりもいない、殺伐として退屈な、映画だったのでした。(三隅研次監督。勝プロ製作、東宝配給 72年)


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