題名 :『小太刀を使う女』

登録日時 :02/10/25 00:40

1961年 大映 監督:池広一夫 原作:村上元三 カラー 80分

小太刀を使う女を演じたのが京マチ子で、八重垣流免許皆伝という設定だが、実はあん まり小太刀は使わなかった。タイトルからチャンバラ映画を期待していると、裏切られ る。




明治9年、江戸屋敷で藩主の奥方の側女中をしていた、りつ(京マチ子)が郷里の臼杵 に帰ってきた。実家の池田家はりつの弟の健一郎(小林勝彦)が継ぎ、商家の娘、たか (中村玉緒)を娶って、今は「池田物産」なる問屋を経営していた。身分違いの結婚に反対していた小姑の登場に、たかは怯えるが、案の定「池田家の名を 汚すことは許しませんよ!」などと、りつはきついことを言う。

間もなく西南戦争が始まった。数日のうちに薩摩軍が臼杵に攻めてくるが、政府軍の到着までは、地元の士族達だけで 城に篭って戦うしかない。健一郎は城に向かった。町の人たちは臼杵の町を逃げ出した 。たかも実家に避難しようとしたが、りつが許さないので逃げそびれた。逃げるあてのない、老人、女、子供、病人たちは大橋寺という寺に匿ってもらうことに なった。りつは士族の女達に声を掛け、寺に避難した人たちの世話をすることにした。 たかも池田家の嫁として連れてこられた。りつは女の髪型、衣装を捨て、男装の剣士と 化した。

薩摩軍がやってきて、城を攻め落とした。臼杵の士族達は城を捨てて逃げ出し、政府軍 に合流して、再奪還を狙う。しかし政府軍が来るまで、寺に避難した人たちは自分たち で自衛しなければならない。案の上、薩摩軍が寺にやってきて、老人や病人とはいえ、男たちを城の雑役夫として連 れて行ってしまった。もう本当に、士族の女たちだけで頑張らなくてはならない。その プレッシャーに耐え切れず、たかが逃げ出したので、りつが後を追って連れ戻すが、帰 路で10名ぐらいのゴロツキに襲われる。ここでついに、りつが小太刀を使いゴロツキ連中を斬って、たかを助けるが、現れた薩 摩軍兵士の一人が斬りかかってきたので、やむをえず切り殺した。寺に二人は逃げ帰っ てきたが、やがて薩摩軍がやってきて捕らえられ、死罪になるだろう、と予測したりつ は、たかに「強い女になれ!」と諭す。

後から思うと、実はここにドラマの転換点が仕込まれている。 強い女だったりつが弱い女の一面を見せる。江戸で奉公していた頃、りつには将来を言 い交わした藩士の片桐直之助(船越英二)という恋人がいたが、船乗りになって世界の 海を渡りたい、という直之助の夢のため、別れた。けれども今でも直之助が恋しい。だ から恋しい人と結ばれて幸せそうなたかに、ついつい意地悪なことを言ってしまうのだ った。堪忍してくだされ。本当は私は弱い女。
そして弱い女だったたかが強い女の一面を見せる。潔く薩摩軍に捕まって死罪になろう などと考えてはなりませぬ。何があろうとも、生き延びて直之助さまと結ばれてくださ れ。恋する女は強いもの。

やがて薩摩軍がやってきて、女たちは必死にりつを庇ったが、結局りつは捕らえられ、 臼杵城で死罪を待つ身となった。潔く捕まったにもかかわらず、直之助が今は政府お抱 えの大船長に出世している、と薩摩の隊長から聞いたりつは必死に命乞いをするが、受 け入れられない。
しかし政府軍が攻めてきて、城は奪還された。政府軍についてやってきた直之助と、再 び女の姿に戻ったりつはついに結ばれる。(完)




西南戦争の1エピソード、という時代背景の設定はよいと思うし、女の強さをいろいろ な角度から考察するプロットの目のつけどころもなかなか。
とはいえ大問題が立ちふさがる。

京マチ子。これでいいのか?殺陣が「お嬢さん芸」の範囲内だったのはともかくも、芝居が過剰に大熱演なのもともかくも、魅力的な女性に見えるか?まさにこの一点が微妙かつ成 否を分けるポイント。私はウーンと唸るだけで、結論は保留だ。

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