題名 :『無宿人御子神の丈吉 黄昏に閃光が飛んだ』

登録日時 :02/10/06 05:41

1973年 製作:東京映画 公開:東宝 原作:笹沢佐保 監督:池広一夫 カラー 83分

御子神の丈吉シリーズは3作から成っていて、それぞれにサブタイトルがついている。

1 牙は引き裂いた
2 川風に過去は流れた

3 黄昏に閃光が飛んだ

今回見たのは3番目のシリーズ最終作で、2番目ほどのシュールさはないが、やっぱり変な映画だった。



妻子の仇、国定忠治を追って、無宿人丈吉(原田芳雄)の旅は続く。

忠治が甲府にいると聞き、丈吉は甲州街道を下る。
道中の藪の中で丈吉がキジを捕まえて食っていると、駆け落ちの男女が追っ手に追われて逃げてきた。丈吉の目の前で追っ手達は、駆け落ちの男を殺し、女を犯し始めた。丈吉はそんなことおかまいなく、キジを食い続けたが、男たちが斬りかかってきたので、サクサクと皆殺しにした。血飛沫が無残。

はからずも助けてしまった旅芸人の女、八重(安田道代)が、丈吉の後をついて来る。

道中で二人は、やくざ者(夏八木勲)が女(小川節子)にからんでいた浪人(田中浩)を、出刃包丁を投げて倒すところを目撃する。このやくざ者は風車の小文治といい、国定忠治から20両で丈吉殺害を請け負っていた。丈吉、八重、小文治の奇妙な旅が始まる。小文治は胸を病んでいて、ときどき血を吐く。しかも小文治が倒した浪人は、下初雁の唐蔵一家の用心棒だったので、唐蔵(鈴木瑞穂)はメンツのために小文治抹殺指令を出していた。

下初雁に近づくと、唐蔵の子分たちが小文治を襲ってきた。丈吉は傍観していたが、小文治がやられそうになったので、思わず助けてしまった。あっという間に皆殺し。病状が悪化し、高熱を発して動けなくなった小文治を、丈吉は大月の旅籠、野津屋に運び込む。この旅籠の女将・お春は先に小文治が助けた女だったが、冷たく宿泊を拒否する。が、主の好意で泊めてもらえることになった。主は店の者に彼らを泊めていることを口外せぬよう言い渡したが、アホな女中が恋人の太助(石橋蓮司)に、ペラペラしゃべってしまう。太助は唐蔵一家の下っ端だったので、たちまち丈吉らの居場所は唐蔵に知れてしまった。

唐蔵がお春をさらう。
体力が少し回復し、そのことを知った小文治は、まず丈吉との決着をつけようとする。結果は小文治の惨敗だったが、命乞いをする小文治を丈吉は殺さなかった。小文治はお春救出のため、唐蔵の元に向かう。
八重がそのことを丈吉に告げ、手助けを請うが丈吉は無視して旅に出ようとする。しかし唐蔵一家の手下が襲ってきて、八重が刺されてしまった。カッとなった丈吉は、またもあっという間に皆殺し。何しろ丈吉が怒る全ての場面は、皆殺しシーンになってしまうのだ。丈吉は瀕死の八重の願いに応えて、唐蔵の元に向かう。

先に単身唐蔵一家に乗り込んだ小文治はお春を救出しようとしたが、当のお春は拒否する。実は小文治とお春は同じ村の出身だったが、名主の娘であるお春に水呑み百姓の倅である小文治が思いを寄せたため、小文治は村を追われてやくざになってしまったという過去があった。そして今でも小文治はお春を好いており、逆に気位の高いお春は小文治を「虫けらのような男」と嫌っていた。

小文治はすごすごと引き上げるしかなく、あとをヤクザたちが追ってきた。居残ったお春は唐蔵と激しくむさぼるようにセックスをする。日活ポルノの小川節子はともかく、今や重厚な役をやれば日本一という鈴木瑞穂のベッドシーンは、なかなかのテクニシャンぶりであった。

そこに突然乗り込んできた丈吉は、いきなり唐蔵をブッタ斬る。その血で裸体を染めたお春から小文治の逃げた方角を聞き出し、丈吉は後を追う。
丈吉が追いついてみると、小文治はやくざ達を相手に奮戦していた。しかし深手を負って、もう助かるまい。黙って見守ろうとした丈吉だったが、さすがに我慢ができず、つい助太刀してサクサクとやくざを壊滅させる。

しかし小文治は死んでしまった。離れたところでは八重が立ったまま、死んでいた。八重の遺体を弔い、丈吉は甲府に向かう。(終)



筋立てはわりとまともで、普通の映画風だが、ディテイルはやっぱり変だ。
冒頭で丈吉がキジを獲る。この方法がトンデモない。飛び道具も罠も使わず、なんとキジが飛び立つところを刀で斬り落としてしまうのだった。
丈吉と小文治の会話も、ちょっとシュール。八重の死に方も変。
しかし、一番変なのは国定忠治が一度も登場しない点。本来主軸であるべき丈吉の仇討ちの物語が、消し飛んだ。そのままこの映画も、シリーズも終わってしまう。結局、仇討ちはどうなったんだろう?原作の小説を読んでみようかな。
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