題名 :『御用牙 かみそり半蔵地獄責め』

登録日時 :02/03/17 19:51

1973年 製作:勝プロ 配給:東宝 脚本・監督:増村保造 カラー 89分

『御用牙』シリーズは全3作。他の2作はすでに見ているので、これで「制覇」したことになる。1作目『御用牙』(三隅研次監督)はスタイリッシュなハードボイルド。3作目の『鬼の半蔵やわ肌小判』(井上芳夫監督)はエロを前面に出したコミカル作品。そしてこの『かみそり半蔵地獄責め』は、骨太な「男」のドラマなのだった。増村監督といえば、カルト風のヘンタイ映画で知られているが、意外にまともなので、ちょっとがっかり...、(もとへ、)びっくりした。



冒頭、二人の百姓風の男が走って逃げるのを追う、同心板見半蔵(勝新太郎)と二人の部下(蟹江敬三&草野大悟)。全員、必死の全力疾走で、いい。こういうところを手抜きしないのが、ドラマを盛り上げるポイント。やがて彼らは、勘定奉行、大久保(小松方正)の行列と出くわす。逃走者達は行列を守る武士に斬られそうになるが、半蔵が止める。勘定奉行の用人(岸田森)は、御用ならとがめだてしないが、奉行の護衛役、御子柴十内(黒沢年男:髪ふさふさ)と戦えという。

二人の対決。二人とも刀を鞘に収めたまま対峙し、抜きながら最初の一刀を繰り出す。これ、チャンバラの王道のひとつ。刀を抜いてから斬り合うより、絶対こっちのほうが格好いい。数手切り結んだ末、十内は左手一本で刀を青眼に構え、右手で拝むような変わった構えを取る。おそらくそこから秘剣が繰り出されるのだろうが、大久保の命令で仕合は中断。

半蔵が捕らえた二人は、死んだ娘から金目の物を奪ってきたという。その娘には堕胎した痕跡があったが、良家の子女で尼寺に通う以外、特にふしだらなことはなかった。しかしその尼寺こそ、売春窟だった。そこに踏み込んだ半蔵はSMオヤジを懲らしめた上(このSMシーンがいかにも増村監督風)、住職の尼僧(相川圭子)をショッピいて、拷問(アレもあり)にかけて黒幕の名を聞き出す。黒幕は、勘定奉行・大久保だった。それを知ってしまった半蔵を刺客が集団で襲ってくるが、仕掛けありまくりの半蔵邸で刺客達は壊滅。

やがて、幕府の小判を鋳造している金座に極悪非道な盗賊・浜島庄兵衛 (佐藤慶)が押し入るという噂が流れる。金座の未亡人差配・お陸(稲野和子)のところに強引に押し入った半蔵は、お陸を犯し金座に住み込んで庄兵衛一味を待ち受ける。罠に協力する度胸をつけさせるため、お陸を犯したのだと半蔵は説明。やがて、火付け盗賊改方に変装してやってきた庄兵衛一味は、度胸のついたお陸と半蔵の活躍によって壊滅する。半蔵はついでに勘定奉行の悪行を暴いて退任に追い込む。

一連の事件が解決し、亡父の墓参りをした半蔵の帰り道の橋の上で、失業した十内(髪ふさふさ)が、勝負を挑んできた。今度は、両者刀を抜いてからの切り結び。十内(髪ふさふさ)は、例の構えを取ることもなく、半蔵に胴を斬られ、自ら腹を切って絶命する。「バカヤロウ」とつぶやき、半蔵は姿を消す。

残された十内(髪ふさふさ)の遺体のそばを、通行人達は何事もなかったように、通りすがっていく。(完)



ここでの半蔵のキャラクターは、一言で言うと「骨太」。常に叫ぶように台詞を吐き、誰にも屈しない。頭が切れ、強引で、剣が強くて、セックスはさらに強いというヒーロー像は、今ではとてもアナクロな感じがするのだけれど、当時はそういうのがハヤリだった。

そういう時代背景を背負っているにしても、とても面白かった。1、3作より、この2作目こそ、多くの人に見て欲しい。
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